【中小企業向け】DXの進め方 2つのポイントと7つのステップ

2021年9月28日ひとりDX論

こんにちは。草食ねこです。

DXの進め方とかDX推進とかで検索すると、2025年の崖だとか、デジタライゼーションの後に真のDXがあるとか、なんだか難しそうなことがたくさん書いてありますよね。

それどころか、DXに必要な人材は6つの職種に分けられるとか言い始めて、経営者がコミットすべしとか、現状を把握しようとか、そういうポイントが並んでいて終わり。いや、ほんとそのとおりなんですけどね。

大企業の人はそれでぼんやり形を掴んで後はコンサルに相談すればいいのかもしれませんが…
中小企業で専任のDX担当者が用意できるかどうかの私たちとしては、「コレジャナイ」。

難しいなかでもなんとかDX進めるにはどうしたらいいの?という疑問が消えません。

そんな”ひとりDX”仲間たちのために、リソースの足りない小さな会社でどうやってDXを進めていくべきか、具体的なステップをお伝えしていきます。
この記事を読むことで、以下の結果が得られます(たぶん)

  • とりあえず今何に手を付けたらいいのかわかる
  • あちこちでトラブルが起きる原因に対処できる
  • DXを実行する時間をなんとかひねり出せるようになる
  • DXで失敗する可能性が少し減る

Contents

この記事でのDXの定義

まず念の為、DXという言葉について確認しておきます。

御存知の通り、DXという概念自体はそもそもビジネスに限ったものではありません。産業革命などと比較されるように、デジタル技術によって社会が大きく変化していくことを指しています。

ただ、ここでは主にビジネスに限定する形でDXという言葉を使っていきます。より広い意味で用いるときは、「社会全体のDX」といった表現をすることとします。

ビジネスにおけるDXはざっくり三段階

出典:令和3年度 年次経済財政報告

一般的に、

  • 1.デジタイゼーション:アナログ情報をデジタル化する
  • 2.デジタライゼーション:プロセス全体もデジタル化する
  • 3.デジタルトランスフォーメーション:その結果として社会的な影響を生み出す
  • と言われます。

    第三段階では、多くの場合ビジネスモデル、ひいては業界そのものが変化します。電子書籍等をイメージしてもらえればわかりやすいでしょうか。書店も出版社も印刷業界も著者も、今までのやり方が通用しなくなってきていますね。

    さて、この分け方に特に異論はありません。こういう段階を踏んでDXを進めて行くのが王道でしょう。

    ただ、一般的には1段階目のデジタイゼーションに取り組んでいても「DXに取り組んでいる」といいますし、ここでは明示的に第三段階としない限りは、1~3すべてを含む形でDXという言葉を使うこととします。

    ねむたいねこ
    みんちゃん

    まぎらわしいにゃ。

    とはいえ、小さい組織だと、いきなりビジネスモデルの変革を迫られることも

    先程、デジタイゼーションから始まるのが王道と書きましたが、実際にはいきなりビジネスモデルの変更を伴うこともあります。

    世間は待ってくれませんからね。

    たとえば、コロナ禍での教室ビジネスなんかはわかりやすい例ではないかと思います。
    駅前留学!とか結果にコミット!とか言ってても落ちた売上戻りませんからね。会社が混沌としていても、なんとかしてオンラインでのサービスを提供しなくてはなりません。

    とりあえず、三段階を愚直に守るような形で直線的にDXが進むというイメージに凝り固まることが無いようにだけしてください。

    DXの必要性と中小企業の強み

    DXが必要だと言われれば、とても当たり前だと感じると思います。

    が、実際にどういう要素があるのか考えておくと、会社ごとにDXの目的を整理する際に役に立つので、少しだけ挙げておきます。

    世の中の変化には適応せざるを得ない。コロナと同じ。

    まず、大きな意味でのDXの必要性について。

    コロナ禍ほど極端でないにせよ、特にAIやロボティクスの進歩は凄まじく、突如としてビジネスモデルが成り立たなくなる、というのは今後あらゆる業界に起きうることだと思います。

    カーツワイルが「シンギュラリティ(人工知能自身の自己フィードバックで改良・高度化された技術や知能が、「人類に代わって文明の進歩の主役」になる時点)」が2045年だと予想したのは有名な話ですが、実際に2040年前後にそうした状況が起きることを予想しているAI研究者はたくさんいます。


    なにより、そもそもシンギュラリティに到達せずとも、いや、AIが出てくる必要さえなく、VR、IoT、ロボティクス、3Dプリンティングなど、デジタルを前提とした新技術が「一定の水準を超える」だけで、多くの業界は劇的な変化を迫られることになるでしょう。ほんの数年先のことです。

    そのとき、先に時代に適応しきるか、事業が多角化できていない中小企業はより大きなリスクにさらされることになります。ですから、少しでも余裕のあるうちにビジネスモデルの変化を見据えたDXに取り組む必要があるといえます。もちろん、事業の多角化も重要です。

    テクノロジーの恩恵をより効率よく受けた組織が当然有利。

    経営に重要なリソースとして、ヒト、モノ、カネ、情報、時間、知財などが挙げられますが、そのどれもがデジタルを前提としたテクノロジーの影響を受けます。

    デジタルなしでは立ち行かない業界も多いはずです。

    そして、デジタル領域というのは爆発的に進歩します。100mの世界記録が明日1秒台になることなど想像もできませんが、会社で毎日1時間かかっていた業務が明日には全部自動化されている、ということは起こりえます。

    当然、その恩恵をたくさん受けた企業がリソースを有効活用でき、有利になりますね。

    逆に、うまくDXできなければ、やがでその差は致命的になります。こっちは徒歩で移動してるのに競合はテレポートしてるわけですから勝負になりません。

    日本の中小企業のうち、DXに取り組んでいるのはたったの10%

    ひとり情シス・ワーキンググループの2021年1月の実態調査を見ると、中小企業のうち「少しでもDXで結果が出ている」状態にあるのは10%程度。

    アンケート調査ですから、それぞれのDXの定義はある程度誤差があるでしょうが、この結果はあまりにも悲惨です。

    令和3年度の経済財政白書でも同様の結果が報告されていて、中小企業においては概ね40%程度がDX取り組んでいますが、実践できているのは10%程度。

    うーん、実際のところ、「とりあえずSalesforce入れた」とかでもこの「実践」とカウントしてる可能性もありそうですから、実際に効果が出ているのはもっと少ないかもしれません。


    一方、大企業は着手予定を含めると実に90%近い企業がDXを進めており、60%近い企業で何らかの取り組みがなされているということです。中小企業では大企業に勝てないのでしょうか。

    そして、この大企業でさえも、アメリカを始めとする海外の企業と比べれば「全然進んでない」のが実態なのです。

    小回りが効く中小企業の方が、素早くDXできる。ただしハイリスク、ハイリターン。

    とはいえ、悲観することはありません。

    逆に言えば、中小企業でのDXは「やってないだけ」です。成功率が1割とか悲観する情報もありますが、「トライした企業」を分母において考えれば、何らかの成果が出ている企業はかなりあるはずです。

    また、中小企業は人数が少ないですから身動きが取りやすい。

    私が常駐していた会社は100名以下の規模でしたから、今日からこれ使います!でも全然通用しました。ルールの変更も容易ですし、いざとなったら裏側でのデータ修正もなんとかなります。

    大企業の事例を真似てじっくりことことやらなくても、会社全体でアジャイル開発するように前に進めていけるのです。

    DXできている会社が少ないということは、「やれば頭一つ抜け出せる」ということでもあります。大企業でも全社的にDXできているのは10%程度のようですから、中小企業のわたしたちがビジネスモデルレベルでのDXまでたどり着ければ、それは相当なアドバンテージになるはずです。

    リソースの少なさは大きなリスクですし、これから言うようにしっかりと根回しをしておかないと根本的に会社が立ち行かなくなるというリスクもありますが、短期的にでも大きなリターンを得ることができますから、とにかくまずは「トライした企業」になることをおすすめします。

    では、具体的にどうやって進めていけばいいのでしょうか?

    DXの進め方、2つのポイント

    結論から行きましょう。進め方のポイントは大きく2つ。

    Point
    • DXに取り組むための「環境」を作り出すこと
    • DXに取り組むための「リソース」をひねり出すこと

    一言ずつ説明してから、具体的な解説をしていきます。

    環境を作る:価値観や文化を作り上げるというのが一番難しいので、ここから手を付け、常に配慮し続けること。

    DXをすすめる上での最大のボトルネックは、価値観や文化を作り上げることだと私は考えています。なぜか。

    DXを実現する上でも理想の目標と最低限の目標があります。

    中小企業が最低限実現すべきDXの目標にもいくつか種類がありますが、先に示した通り、中小企業の10%程度しか「DXを実践」していない。実際のところ、「大掛かりなDX」をいきなりできるだけのリソースがある中小企業というのはあまり想像できません。

    もし「DXをする余裕がない」と言っているような状態であれば、おそらくまず目指すべきところは「技術的に難しいようなこと」ではありません。すぐ導入できて素晴らしい機能を持ったサービスはたくさんあります。導入したしくみを組織全体で使いこなせるようにすることが、一般的には最大のボトルネックです。

    長期的な視野で見ても、「適応能力」が最も重要

    また、理想的なDXを考えたときは、システム的な課題がたくさん出てくることになるでしょう。しかし、DXで頼れるサービスは年々増えていて、どんどんシステム的な課題は減ってきている。

    ビジネスモデルを変えてしまうようなものも出てきています。

    それをどんどん取り入れて、場合によってはゼロベースで入れ替えられるような組織にすることが最も重要だと考えれば、やはり最も重要なのは「開発能力」とか「データ分析能力」とかではなく、「目的に応じてテクノロジーを取り込み続けられる適応力」であると私は考えます。

    要するに、ドラ○もんは進化し続けるので、自分たちでドラえ○んを改良できるようになるより、のび○としての能力を伸ばしたほうがいいということです。

    そして、中小企業はこの点で非常に有利なのではないかと思うのです。

    まずは小さく動いて、価値観や文化の土台を作る

    忙しい中でなんとか時間を作り、最低限「導入したものを使える組織」を目指すにはどうしたらいいでしょうか?

    中小企業の強みは「身軽なこと」であり、弱みは「リソースが少ないこと」なわけですから、必然的に「小さく始めて修正しながら前に進む」のが現実的な選択肢になると思います。

    DXプロジェクトが最初に目指すべき4つのマイルストーン

    最初のゴールは、

    「システム」ではなく「組織」にフォーカスして、小さくフォローアップが行き届いた「アレルギーの少ない」一歩目を踏み出してもらうこと

    です。

    そのために、


    1.小さく始めて、DXが業務を楽にしてくれることを「実感」してもらう
    2.小さく始めて、DXをすすめるための「しくみ」を社内で構築する

    こうした努力の中で、


    3.より詳細に「現状把握」をして、戦略を立てていく。

    その後、目指すべきは


    4.「セルフマネジメント」と「プロジェクト管理」ができる会社を目指すこと

    です。


    というのも、DXを実現していくためには各部門ごとにオペレーションの再構築が必要となり、それぞれが非常に複雑なプロジェクトになるからです。

    ここまでくれば、大きなDX戦略も固まり、社内はデジタライゼーションのレベルでDXに前向きで、各部署にDXを進めるための仕組みや担当者がいるような状態が作り出せるはずです。

    CAUTION

    ぶっちゃけ、ひとりDX担当者に要求されるスキルと労力は尋常ではなく、かなり負担になります。

    時間を生み出しつつ、まずは小さく動いて土台を作る。これが重要です。

    次に、時間を生み出すとはどういうことなのかを説明していきます。

    時間を作る:プロジェクトのROI(期待値とかかるコスト)を明確化し、経営レベルで合意を得れば時間は生まれてくる。

    やらないことを決めて、時間を生み出す。これが重要です。

    「リソースがない」という現実

    DXに取り組むためにはあなたの工数を始めとして、様々なリソースが必要になります。

    ですが、そもそも「いままでやってなかったこと」なので、既存の業務は当たり前に存在していますよね。
    小さな会社では「プロジェクトの兼任」が当たり前。特にひとりDX担当者は大変なことになっているはずです。

    当然ながら計画も往々にして「ざっくり」であることが多く、実際にやってみると想像の倍では足りないタスク量になることも珍しくないでしょう。

    こうした状況で、プロジェクトごとの優先順位を明らかにせずにはじめてしまえば、膨れ上がったタスク量と変わらない目標期日であなたは確実に2-3人分働くことになります。

    しかし、現状では増員は期待できませんし、仮にできたとしても教育コストがやばいです。

    よく考えれば当たり前で、だからこそ根本的な解決が必要になります。

    根本的な解決は「経営レベルで合意を得る(得続ける)こと」しかない

    結局のところは「あなたの工数」を始めとしたリソースをどういう配分で投資するのか、という経営判断です。
    追加できないリソースの現実的な分配方法をできるだけ正確に見極めるしかないのです。

    徹底的に優先順位をつけ、それを経営レベルで合意してもらうことが絶対に必要です。絶対です。

    以上、進め方の2つのポイントでした。

    時間を生み出して、小さく始める。

    この2つの実際にこれをやるためには何をしなくてはならないのでしょうか?
    ステップバイステップで解説していきます。

    ひとりDX担当者のためのDXを始める7つのステップ

    「なぜ」「どうやって」とお話してきました。最後は「なに」をすればいいかを掘り下げていきます。
    ひとりDX担当者のあなたが具体的にどのようなステップでDXの立ち上げをしていけるのか、イメージを膨らませてください。

    やってみよう!

    【TODOの大まかな流れ】

    • DXを含めてプロジェクトを全部並べる
    • ROIを評価する
    • 経営会議で優先順位を決めて合意を得る
    • 優先順位に見合ったリソースを割り当ててもらう
    • 経営トップ主導でのプロジェクトを開始し、仕組みづくりをはじめてもらう
    • 全社で取り組める小さなDXプロジェクトを回す
    • セルフマネジメントやプロジェクトマネジメントの仕組みを作り研修する

    合意を得るための3つのステップ

    死ぬほど忙しいあなたは、まずは時間を生み出す必要があります。
    では、あなたを含めた「リソース」の配分について、経営レベルでの合意を得るにはどうしたらいいのでしょうか?

    ざっくり言えば、3つのステップがあります。

    1. 投資先(=プロジェクト)を並べる
    2. それに対するROI(期待値/コスト)を比較する
    3. 優先順位をつけて合意する

    一つずつ説明していきます。

    STEP1:投資先(=プロジェクト)を並べる(2日)

    現在、あなたが関わっているすべてのプロジェクトを書き出してください。

    CAUTION

    ※ここでのプロジェクトという言葉は、「目的に紐付いたタスクの集まり」くらいの認識です。

    自分の持っているプロジェクトをすべて書き出す(1日)

    このための最もかんたんな方法は、「ここ2~3週間であなたがやったタスクの一覧」をまず作り上げることです。
    すべてのタスクには然るべき目的があり、それは必ず何かしらのプロジェクトになっているはずです。

    もし目的や目標が明確でなく、プロジェクトとしての体をなしていないようなタスクがあれば…おめでとうございます!
    それは無駄な業務です。リソースが少し空きましたね!

    たとえば、業務用のPCの管理一つとってみても、効率のよい業務環境を作るとか、経費の無駄をなくすとか、いろいろな目的があるはずです。


    目的に対して目標があり、タスクが紐付いていればそれはプロジェクトですから、そういうものとして一行書き込んでください。

    Information

    もし同じ目的で紐付いているタスクがあれば、それらを統合するようなプロジェクトにすると良いでしょう。このへんの粒度は書きやすいように調整してください。

    この要領で、既存のタスクをできる限り漏れなくプロジェクトとして紐付けて行くと、徐々に自分のリソースがどう配分されているのかの現状が見えてきます。


    人によっては謎のMTGや人事などの様々な領域にまでまたがっていると思います。それが一通り見えてこないとリソースは生み出せません。諦めて全部書き出してください。

    その上で、特に経営会議で優先順位付けが必要なレベルの大きさのものを、最終的にスプレッドシートに入れて比較していきます。

    ざっくりでいいので、今後のDXの選択肢や近い将来関わるプロジェクトを書き出す(1日)

    DXの選択肢というのは、「~のオペレーションの自動化」とか、「~の導入」とかの、ある程度イメージの湧く「提案」です。


    たくさん提案を書いていって、必要なものを残せばいいので、気軽に書いていきましょう。

    また、DXの必要性のアピールにもなる箇所なので、プレゼンテーションを作るつもりでポイントを押さえて書くことが望ましいです。

    例:
    ITスキル研修:業務効率化に役立つ最低限のスキルを標準化

    例:
    プロジェクト管理ツールの導入:セルフマネジメント・プロジェクトマネジメントができる会社になる

    これは完璧である必要はありません。どんどん選択肢は増えますし、どうせ目標やコストも大幅に修正が必要になりますから。
    直接現場を見たり、現場からの意見を取り入れることなしに完璧にはなりませんし、一度軽く小さなDXにトライしてみて初めて見えることもあります。

    ですが、必要に応じて事前に相談したりして、ある程度見た人が全員納得できるレベルのリストにしておきましょう。
    会議中、「足りない」と思われると優先順位がつききらなくなる可能性があります。

    Information

    もしなかなか手が進まないようなら、おそらく目の前で見えているであろう課題をまずはブレストしてください。
    そして、それぞれ改善案をブレストしていきます。

    硬い表現で書けば、現状把握と目標(理想と最低限)の明確化という感じです。

    また、潜在的な課題や将来的なビジネスモデルの変化などをブレストしておけると、後々大きな方針を考える上で役に立ちます。

    同様に、今後あなたが関わる可能性のあるプロジェクトを書き出してください。ある程度の大きさのものが書き出せれば問題ないでしょう。

    以下、適当な例になります。実際はこれよりももう少し詳しく書いていくことが多いので参考程度に。

    最低限の目的直近の目標/TODO現状のコスト長期的なコストベネフィット/期待値ROI
    IT環境のメンテナンスDXの基盤となるIT環境の整備回線のアップグレード一部旧PCの入れ替え etc現状:1-2人日/月PC購入費用左に同じ。従業員の生産性が1~5%程度向上?
    Salesforceのトラブル改善Salesforceをなんとか動く状態に保つリード向けの自動送信メールのバグ修正月による。1-5人日/月左に同じ。時期によって変動。クレームやトラブルの回避業務停止の回避
    ITスキル研修(予定)業務効率化に役立つ最低限のスキルを標準化新人向けの初期講習セキュリティ研修3-5人日/月(自分)0.5*スタッフ数人日/月これが約半年従業員の生産性が10~20%向上?セキュリティリスクの回避
    プロジェクト管理ツール導入(予定)セルフ/プロジェクトマネジメントができる会社になるツール選定導入のロードマップ決定ルール策定と研修の実施3-5人日/月0.5*スタッフ数人日/月3ヶ月程度を予定DXの土台ができる従業員の生産性が20~30%向上?

    STEP2:ROI(期待値/コスト)を比較する(1日)

    それなりの粒度のプロジェクト(投資先)が一覧になったら、今度はROI(Return of Investment:投資利益率)を考えます。

    具体的には、それぞれのプロジェクトがもたらす期待値とコストを表の右側に書き入れていきましょう。
    これは、現状あるプロジェクトと、DXを含めた今後のプロジェクト両方に書き出します。

    コストに関してはある程度詳細に書けることもありますが、ベネフィットや期待値に関してはかなり書きづらいです。
    ただ、この表の目的は「株主に会社の将来性をアピールすること」ではなく、単に暫定的な優先順位をつけることです。
    ですから、正直数が少なければ、大中小とかでも構いません。

    また、定量的ではなく定性的なベネフィットになる場合もあります。
    このあたりはある程度フレキシブルに行かないと前に進まないので気をつけてくださいね。

    最低限の目標、理想の目標に分けて期待値とコストを書くこと

    紙幅の関係で例の表には最低限しか入れていませんが、コストや期待値が書きづらいときは理想と最低限を区別してそれぞれ書いていくといいです。

    通常、プロジェクトごとに理想的な目的達成状態と最低限の目的達成状態に大きな差が出ます。これを一度に考えようとしても不可能です。

    少なくとも「最低限」だけは書き出し、必要なら「理想」まで含めて書いてみてください。

    また、大きなリスクがある場合は、コストとは別にリスクの列を作成して追加していってください。

    補足:システム論を参考に、インパクトの感覚を持っておく

    正直なところ、明確に期待値がわかることというのはかなり珍しく、数値化がほとんど不可能なこともかなりあります。

    こういうときにインパクトの大きさを考える上で役に立つのが、システム論です。

    「世界はシステムで動く」によると、システム(つまり会社組織)に対する介入のインパクトの大きさは、以下のようになります。

    システムに介入すべき場所(有効性の増す順)

    12     数字:補助金、税金、基準などの定数やパラメーター
    11     バッファー:フローと比較した時の安定化させるストックの大きさ
    10     ストックとフローの構造:物理的なシステムとその結節点
    9       時間的遅れ:システムの変化の速度に対する時間の長さ
    8       バランス型フィードバック・ループ:そのフィードバックが正そうとしている影響に比べてのフィードバックの強さ
    7       自己強化型フィードバック・ループ:ループを動かす増幅の強さ
    6       情報の流れ:「だれが情報にアクセスでき、だれができないか」の構造
    5       ルール:インセンティブ、罰、制約
    4       自己組織化:システム構造を追加、変化、進化させる力
    3       ゴール:システムの目的または機能
    2       パラダイム:そこからシステム(目標、構造、ルール、時間的遅れ、パラメーター)が生まれる考え方
    1       パラダイムを超越する 「”真実”であるパラダイムなど存在しない」

    システム用語が多くて若干わけが分からないかもしれませんが、参考までに。

    当然ではありますが、システム全体へのインパクトが大きいのは目先の数値を改善するような介入ではありません。パラダイムやゴール、自己組織化など、全体に関わる部分になります。

    DXのインパクトを考えるときも、会社のミッション・ビジョンやビジネスモデルに関わる施策(1-3)や、プロジェクト管理能力やDX対応能力などを総合した自己組織化能力に関する施策の重要度を大きく見積もっていくのがいいと思います。

    当然、CRMを導入してマネジメントの仕組みや情報の流れを変えたりすることも大事ですが、インパクトの大きさで言えば劣ります。

    詳しくは本を読んでください。

    コストが「ギリギリ」ではなく、「余裕のあるもの」になっているか確認する

    ここでのコストは「あなたの工数の確保」につながります。ですから、DXの選択肢をアピールしたいがために少なめに書いてしまうと、工数不足でプロジェクトが回らず本末転倒になってしまう恐れがあります。

    ある程度余裕のあるコストを書き出しておきましょう。

    それをまとめてざっくりと優先順位をつけ、経営会議に持っていく。

    コストと期待値を書けたら、後はざっくりとROIの欄を埋めていきます。
    高中低でもいいですし、言葉で書いてもらっても構いません。

    この辺の「コスト」と「期待値」、「ROI」は完璧にしようと思うと無限に時間がかかるので、ざっくりたたき台を持っていき、それを手がかりに「経営会議で考える」くらいの感じにしておきましょう。
    会社によっては、事前に会議のアジェンダとプロジェクトの一覧を参加者に共有し、フィードバックをもらってもいいです。

    これも完璧にはならないのですが、ざっくり優先順位がつくレベルにはなんとか持っていかなくてはなりません。

    STEP3:優先順位をつけて合意する(1日)

    表が一通りできたら、あとは経営レベルで合意を得る作業です。  

    経営会議と言っていますが、正直経営者と話さえつけばどんな会議でもいいです。
    ひとりDX担当者のリソースは会社全体にとって非常に重要なはずなので、関係者がある程度増える場合もあるでしょう。

    ただ、こういう議論を必要とする複雑な意思決定の場では、多くても6人、できれば4人かそれ以下の人数が望ましいです。
    人によりますが、参加者全員の頭の中を想像しながら話ができる人数の限界がこのあたりだからです。

    かならず「後回しにする/やめること」について合意すること

    ここでは、暫定的であっても、会社にとって必要なプロジェクトの優先順位について「共通の認識」と「合意」を得ることがゴールです。

    焦点になってくるのはもちろん優先順位もそうですが、実際にはその結果として「何を諦めるか」についての合意を得ることがポイントになってきます。

    表では分かりづらいですが、工数や金額を積み上げていけば当然上限に達します。
    DXを行うときはほぼ確実に別のプロジェクトが後回しないしなくなることになるので、余裕のあるコスト計上をした上で、できない可能性のあることにはすべて言及しておきましょう。

    これができないと、結局は上限を超えたタスク量を要求され、形式上だけの優先順位付けとなってしまいます。

    どういう状態になれば「合意」を形成したと言えるのかは会社によって違う気がしますが、できれば最後は念の為、「ではこれとこれは後回しで、こういう優先順位で進めていきますよ」という一言を付け加えておくといいでしょう。

    補足:経営方針について直接話し合えないときは

    会社の経営方針を議論する会議に出られる立場じゃないなら、そもそもDX担当者として十分な権限がありません。
    少なくとも会社の意思決定ができる人と直接コミュニケーションが取れる状態を作り出すか、もっと権限のある人をDX担当のチームに据えるよう交渉してください。

    STEP4:プロジェクトの優先順位について合意し、DXをするために必要なだけのリソースを割り当ててもらう(適宜)

    これが成功すれば、ある程度時間と、場合によっては予算がひねり出せたことになります。
    これではじめて全国の中小企業のうち10%しかいない「DXを実践している企業」の仲間入りです。

    ちなみに、リソースが割り当てられたのに足りない場合は、コストの見積もりがあまいか既存のタスクとプロジェクトを十分に把握できていないのが原因です。

    「優先順位付け」は定期的に行う必要がある

    また、一度優先順位づけをしただけで終わりではありません。

    多くの会社においては、だいたい「予想外のプロジェクトやタスク」が大量に差し込まれてきます。

    内部でのトラブルや課題は常に生じてきますし、環境も常に変化しています。
    経営者の経営スタイルにもよりますが、人によっては毎日の様に新規プロジェクトを立ち上げたりもします。

    そうすると、必然的に合意されたはずのタスク量をオーバーする形でタスクが積み上げられていくことになります。

    これへの対処方法は3つ。


    1.自分の管理下で生じたタスクの場合。可能な範囲で優先順位をつけて、不可能なら経営者と相談する。当然ですね。
    2.経営者から直接的にタスクを振られたとき。現状のプロジェクトと課題の状態を見せて、「そのタスクを割り込ませるのであれば、優先順位的にこのタスクが後回しになります。」と確認する。
    3.最後に、プロジェクト関係者のリソースが減って回らなくなってしまった場合。必要に応じて経営者と優先順位を再確認してから、関係者を集めて優先順位について相談する。

    ぶっちゃけると、これを実現するには後述する「プロジェクト管理ツール」が無いと始まらないです。
    最悪、自分ひとりだけでもプロジェクト管理ツールを使いましょう。

    とても面倒に見えるかしれませんが、社員一人に対してさえこれができなければ会社全体のDXなどできません。

    STEP5:トップ主導で工数の確保やしくみづくりを始める(1~2週間)

    経営会議でリソースを割り当ててもらっても、それは基本的に「時間」ができただけです。
    今後DXを実現していくための、「環境」はまだできていません。

    それを実現するための最も重要なポイントが、「トップ主導で」DXプロジェクトが動き出すことです。

    社長かオーナーが必ず旗振り役になること

    強い意志がなければ肉体改造はできません。
    貴重な時間、労力、お金を投資して、様々な我慢をし、必死に努力してはじめてスリムな体や盛り上がった筋肉が実現します。

    DXも、その名の通りTransformationですから、様々な投資と決断が必要になります。

    たとえば、会社のオペレーションが再構築され、目標や評価制度を見直すとき。
    たとえば、DXに必要な人材を採用・教育するとき。
    たとえば、高額なツールを導入するとき。
    たとえば、ビジネスモデルの転換に伴い人材を再配置するとき。

    それには、一貫した決意を持った社長(ないしオーナー)の存在が不可欠です。
    社長が自ら旗を振り、大きな変革にスタッフが耐えられるよう環境を作り、導く。

    もちろん、社長がすべてをやる必要はありません。DX担当を含めチームで取り組むべきです。
    そのためにも、チームメンバーそれぞれが何を実現したいのか、どういう役割分担でやっていくのかについて話し合いましょう。
    そして、必ず社長が心からそこにコミットし、旗振り役として全スタッフの前に出ていけるよう、サポートしていきましょう。

    マネージャーを巻き込み、暫定チームを作ること

    前述の通り、本格的にDXが始まると、会社のほぼすべての部署に大きな変化が訪れます。

    トップダウンだけでは、正直現場の状況はわかりませんし、現場の意見を吸い上げることもできません。

    部署ごとで課題が起きたとき、その場で対処できるかどうかでDXのスピードは大きく変わってきます。

    なにより、DXを始めるにあたって最も重要なことは


    「システム」ではなく「組織」にフォーカスして、小さくフォローアップが行き届いた「アレルギーの少ない」一歩目を踏み出してもらうこと

    それに柔軟に対応していくためには、担当者や社長だけでなく、やマネージャーでチームを組み、最初の小さなDXを通して形をつくることが望ましいです。

    これはかなり難しいことなので、必ず各部署の協力を得るようにしてください。

    場合によっては評価制度や業務フロー全体の見直しをすること

    リソースを割り当て、社長主導でチームを組んだらスタートできるかといえば、そうでない場合があります。

    最初の小さなDXでこうした大きな見直しをするのはあまり望ましくありませんが、ある程度大きな目標を最初から掲げてスタートする場合は、合わせて評価制度や業務フロー全体の見直しが必要になってきます。

    また、チーム内にマネージャー層ではなく一般スタッフを呼び込むやり方もあります。

    その際、そのスタッフは基本的に既存の業務と「兼任」という形を取ることになるため、何らかの報酬が必要になります。この際も、場合によっては評価制度の修正に繋がります。

    いきなりここまでこれたらかなりのものですが、基本的にはそのうちこれらの大きな変革は必要になってくるものと思っておいてください。

    経営会議を行う際のポイント

    あなたができることは、提案をする相手の立場に立って、

    • わかりやすいプロジェクトのROIの説明と比較を準備すること。それぞれちゃんと理想と最低限を明確にしておくこと。
    • 上記の暫定的なたたき台をベースに、ROIについて経営層で議論し、最低限の合意に導くこと。
    • 優先順位をつけたとき、現実的なタイムラインはどうなるのかをざっくりと共有し、合意を得ること。
    • DXを開始するにあたって必要な様々なリソースを並べ、合意を得ること。
    • 会議のファシリテーションのためのポイントを押さえて進行すること。

    です。

    それでもダメなら、その時は「担当できません」と、Noといえる日本人になりましょう。そこで根性論を持ち出されるなら、正直に言って「大多数の失敗したプロジェクト」になる可能性が高く、担当者のあなた自身も確実に疲弊します。環境が変わることを祈るか、環境を直接変えるか、あなたが別の環境に行くのか…

    STEP6:小さく始める(2週間~1ヶ月程度)

    経営会議が終われば、いよいよ小さなDXをスタートしていきます。
    最初は下手に計画にこだわらず、とにかく小さく始めつつ、徐々にたくさんの人を巻き込んでいきましょう。

    ここでは、

    • 小さな業務効率化をいくつか行いつつ、DXチームをなじませつつ、現場の意見を吸い上げる
    • 小さな成功体験をもとに、より大きな未来のアイディアを広げる

    ことになります。

    最初のDXプロジェクト実施の流れ

    主な流れは以下のようになります。

    やってみよう!

    • トピックを決める。
    • 実施する施策の内容を具体的に固める。
      • 研修ならコンテンツ、システムなら実装内容
    • 各部署と、実施の際の連携内容を固める。
    • 施策を実施する
    • 効果を計測する/スタッフからの反応を吸い上げる
      • 必要に応じてアレルギーが生じないようフォローアップする
    • IT周りへの適正や周囲への影響力のあるスタッフをピックアップする
      • (今後のDXサポートメンバー候補)
    • 生じた課題と対応内容をまとめて、今後のDXについての課題を洗い出す
    • 実施の際のDXチーム全体のパフォーマンスを評価する
    • 実施にかかったコストをまとめて、現在出ているDX施策のROIを再評価する
    • 今後のDXの戦略や方針をまとめていく

    DXの施策それ自体よりも、フォローアップや事後評価からのアクションが重要です。
    そこを意識してトピックを選び、準備してください。

    スタートダッシュに最適な小さなDXプロジェクト例

    プロジェクト例

    • 文字入力補助ツールの導入と研修 ←おすすめ
    • Zapierなどを使った各種ツールの連携
    • Chromeの便利な拡張機能の標準化
    • 要望のある自動メールなどをいくつか実装

    すべて営業やオフィスワーカー向けですが、参考にしていただければ。

    特に文字入力補助ツールの導入については、(まだやってなければ)会社の生産性が劇的に向上しますし、実施もかんたんでおすすめです。
    そのうち別途記事を書きますね。

    ここでの重要なポイントは、「スタッフからの反発が出にくいものを選ぶこと」です。
    いわば最初の一回目はワクチン接種みたいなものなので、弱毒化したものである必要があります。

    これを満たすのは、「業務のオペレーションがほぼ変わらず、使えば単純に業務か素早く終わるタイプのDX」がわかりやすいです。
    これまでスタッフから改善要望とかが出ていたものの中で、手がついていないものを探すと見つかりやすいかもしれません。

    ほとんどのスタッフに影響があり、実施がかんたんで、現場の意見や反応が得やすいものを選ぶのがポイントです。

    できれば避けたい!最初のDX候補

    • ペーパーレス化
    • 各種フォーマットの統一
    • グループウェアの導入
    • などなど

    いわゆるデジタイゼーションというのは、DXについて調べると最初の方に書いてあり、実際、他のステップよりも先にすべきなのは事実です。
    しかしながら、これを最初にやってしまうのは非常に危険だと私は考えています。

    なぜなら、ほんの単純なペーパーレス化であっても、オペレーションに大きな変化が出るからです。特に、デジタル周りが苦手な従業員にとっては相対的に自分が無能になると感じられますし、保守的な層からの反発もあります。オペレーションの変化自体に大きなデメリットがあることも多く、それが余計に反発を生みます。たとえば、紙だからこそ質が高まる業務というのも正直あります。

    フォーマットの統一なども同じで、人から強制されて慣れ親しんだものを変えるときは、たとえどんなに新しいものが客観的に良かったとしても、主観的には不快な経験になることがほとんどです。そうでないのは、必要性や合理性を偏愛する一部の人たちだけです。

    もちろん、近いうちにそれらのDXは必要になります。

    しかし、DXの目的が浸透しておらず、それが改善をもたらす経験も実感もなく、フォローアップの体制も、研修の体制も、評価制度や運用も確立していない状況でいきなりそれを行ってはダメです。目先のDXのステップは進むかもしれませんが、最も難しく重要な目標である、「会社の文化や価値観を作り上げ、適応能力の高い組織を作り上げること」はできません。

    目先の業務の効率化やビジネスモデルの変化だけにとらわれず、それを動かし使いこなす人と組織に集中することを忘れないでください。

    STEP7:セルフマネジメントとプロジェクト管理ができる会社を目指す

    社内に「なんちゃってDX」が浸透してきて、大まかな戦略が決まり、会社の各部署のDXへの対応能力が見えてきて、スパイの様にすべての部署にDXをフォローするスタッフが定着。

    こういう状態になってきたら、次に目指すのは各部署でDXを、様々なプロジェクトを実行し続けられる土台を作ることです。

    DXは肉体改造のようなもので、頭で考えるだけでは筋肉はつきません。動かし方を知っていても筋肉がなければ動きません。
    各部署がそれぞれDXを実行できるようにならなければ、DXのやり方やそのための環境を用意しても、まともに機能しません。

    まずはプロジェクト管理ができる会社を目指す

    DXが難しい原因の一つは、ほとんどすべてのDXの施策に対して、実行する人やチームごとにPDCAを回した上で、そこで出た改善点を会社全体で統合・修正し、再度標準化していかなければならないことです。

    そして、ほぼすべての部署にとって、DXの施策というのは「新しく並行運用しなくてはならないプロジェクト」にほかなりません。

    いわば、マルチタスクの状態になるわけです。一つの業務に集中していたチームであれば、それが複数になるというだけで思考停止してしまうこともあります。

    さらに、業務のオペレーションが変化するとなると、最悪会社の生産性が一気に低下する可能性さえあります。

    こうした事態を避けるため、私が推奨しているのは「タスク管理」、「セルフマネジメント」、そして「プロジェクト管理」ができる組織体制を固めることを最初のDXのマイルストーンにすることです。

    デジタル化、効率化、情報共有、データ活用…やりたいことはたくさんあるとは思いますが、最終的には、こうした組織体制を作ることが最速であると、様々な失敗から私は学びました。

    具体的には、プロジェクト管理ツールを導入すること

    具体的にどうしたらいいのでしょうか?
    もっとも単純な回答は、

    みんちゃん

    「プロジェクト管理ツールを使ってください」

    です。

    個人的にはAsanaというツールがおすすめで、このサイトでもAsanaを解説しています。
    色々と選択肢があると思いますが、すでに使っているツールがあればそこから発展させてもいいです。

    プロジェクト管理ツールのベネフィット

    Asanaの調査チームによると、ナレッジワーカーは一日のほぼ2/3を仕事のための仕事、要するに各種の調整作業やコミュニケーションに費やしているそうです。個人的な感覚では日本はもしかすると2/3以上かもしれません。

    実際、仕事に関するコミュニケーションをプロジェクト管理ツールにまとめるだけで、かなりの生産性の向上が見込めます。

    これまでいくつかの組織で私がAsanaを導入したときは、導入初期はかなり手こずりますが、いくつかのポイントが達成できると劇的に効率が高まります。

    ダラダラと1時間かけていた会議が、5分になるイメージです。こういうことが、あらゆる場面で起きます。

    単純なコミュニケーション効率だけの話ではなく、DXができる組織になる上でも重要な、様々な効果があります。
    プロジェクト管理ツールについて語りだすとたぶん本が書けるレベルなので、ここでは詳しくは割愛させていただきますが、重要なポイントは以下。

    • プロジェクト管理ツールを使うと、すべてのタスクに関する5w2hを明確に書き出せる
      • なぜ、いつからいつまでに、だれが、どこで、なにを、どのように、どれだけのコストを使って実行するのか
    • うまくいくと、業務上発生するすべてのタスクをプロジェクト管理ツールで一元管理することができる
      • セルフマネジメントをする上で、優先順位付けや計画・改善プロセスの次元が上がる
      • セルフマネジメントとプロジェクトマネジメントを行き来しながら改善できる
    • 業務上必要なコミュニケーションは原則プロジェクト管理ツール上で、タスクや目標に紐付いた形で行われる
    • プロジェクト内での役割分担や、タイムラインを含めたプロジェクトの流れを可視化できる
    • 会社の動きが隅から隅まで明確になるため、マネジメントにも大きな効果がある
      • 個々のスタッフの業務プロセスやチームのパフォーマンスの具体的な実態が明確になり、課題の発見や解決・指導がしやすい
      • プロジェクト自体の優先順位付け(この記事前半でスプレッドシートでやったこと)がより高い次元で容易にできるようになる
      • すべてのタスクが目的に紐づくので、会社のミッションや戦略を隅々にまで伝えることができる
    • 部署を横断した様々なチームを容易に作り出すことができ、会社内の相互作用が高まる

    どれもが、DXをする上で非常に重要になってくるのではないでしょうか。
    若干抽象的なので具体事例を書いていきたいところですが、ご容赦ください…

    もちろん、これ以外にもまだまだメリットや活用のポイントなどはあります。

    プロジェクト管理ツール導入時のポイント

    これもおそらく本が一冊書けそうですが、ポイントは以下。

    • とにかく最小限の機能を徹底して使えるようにする
      • 自分に割り当てられたタスクを漏れなく確認し、期日が切れないようにし続ける
      • タスクごとのコミュニケーションを漏れなく確認し、必要なものにはすべて返信する
      • ルールを作り、使えるようになるまで、定期的にチェックをし続ける
      • プロジェクトやタスクに関連する会話を別のコミュニケーションツールで行わない様徹底し、見つけたらお互い管理ツール上のリンクを送るようにする
    • マネージャー向けにはプロジェクト管理系の機能を含め先に軽く研修してから導入する
    • すべての部署に兼任の導入サポートスタッフを配置する
    • 研修とフォローアップは徹底して行う
    • ある程度使えるようになってきたら、セルフマネジメント研修を行う

    詳しくは、Asanaに限定した内容ですが以下を参考にしてください。

    プロジェクト管理ツールが浸透しても、必ずしもセルフマネジメントとプロジェクトマネジメントが定着した状態になっているとは言えません。

    会社ごとに、何らかの定性的な目標を立てるといいかもしれません。ツールの利用率とか、社内での相互評価とかですかね。いくつかマイルストーンをおいて、フェーズを分けていくといいでしょう。

    いずれにせよ、これは完璧になるという類のものではありませんし、経験を通して改善していくものですから、改善していくための最低限の土台ができたら、次のステップに進みましょう。

    DXで失敗しないために、以下の記事も合わせて読んでおくことをおすすめします!

    大きなDXを目指して動き出す

    スタッフがITによる業務改善に慣れてきて、会社として行けそうなDXの方向性が見えてきたら、大きなビジョンを語って大きなプロジェクトを動かし始めましょう。

    大きなビジョンを語るのは、もちろん最初でも構いません。すでに社員全員が危機感を持っていて、DXによってその解決の可能性があるなら、抵抗感があってもDXに取り組むだけのモチベーションがあるでしょう。ゴリゴリのIT企業であれば最初からDX自体に乗り気な価値観と文化があるかもしれません。

    ただ、DXに対するそれぞれのスタッフの「反応」がある程度予想でき、かつポジティブにコントロールできている状態だとベターだとは思います。

    同様に、最初の段階である程度大きな方針が決まった場合は、最初から社長が出てきて大々的に「DXできた後のビジョン」とかを語ってもいいです。しかし、「時間」の要素を入れるとだいたいカオスになるので、「モチベーションが上がる未来像」だけに最初はとどめておくのが正直無難だと思います。

    社長ねこ

    来月までにオンライン販売を始めるぞ!

    ぴーにゃ

    えっ…誰がやるの…?

    DXに対する会社の状態を把握し、期限を含めて計画を固める

    一度プロジェクトを回してみると、一見かんたんなことにどのくらいの「時間」と「工数」がかかるのか見えてきます。

    もちろん予測は予測ですから、ざっくりとしかわかりませんが、そこから少し具体的な計画が立ってきます。

    まずは戦略目標に従って中長期的な目標をプロジェクト管理ツールに作成し、期日を入れてみましょう。
    そして、それぞれの目標のサブタスクに、「目標を達成する上で十分なだけのマイルストーン」を漏れなく書き切ります。

    CAUTION

    ここで、適当にマイルストーンを書く人が多いです。書いた後、

    「これを全部やったらほぼ確実に親の目標が達成できるか?」

    と自問してください。

    漏れなく書ききれたら、あとは適当に期日を入れていき、現実的になるようある程度調整します。

    そして、各部門の担当者を集めて、実際実行可能な計画なのかどうか話し合って決めてください。

    ぶっちゃけ、人員もギリギリで兼任担当者がたくさん、ビジネスの環境も日々劇的に変わりますから、「効率よくみんなで集中して目指すための暫定的なゴール」として作っていきましょう。

    そして、状況に応じて常に目標を修正し、それを逐一全社に共有していってください。

    DX戦略の作り方については、以下の記事も参考にしてください!

    後はPDCAを回しながら、より高度なDX人材を採用・育成していく。

    大きなDXが動き出したら、忙しさは更に増していきます。
    そして、確実にDXのための人的リソースは将来的に不足します。

    そうなると、不可避なのが人材の採用と育成です。

    DXに必要な技能はたくさんあるが、最初の一人に必要な技能は経営とかプロジェクト管理、そして巻き込み能力などが重要。

    「DX スキル」とか「DX 人材」とかで検索すると色々出てくるとは思いますが、フェーズに応じて必要なスキルセットは違いますし、優先順位というものがあります。

    まず最も最初に必要な人材、つまりひとりDXを担当する人に必要なスキルセットは、正直かなりマルチです。たとえばこのニュースによれば、DXがうまくいっている会社では経営、事業、技術の3つに精通し、リーダーシップを発揮できる人材が中心になっているとのこと。これは実際にそうだと思います。このどれかが欠けても重大なボトルネックになりうると感じます。

    ですが、それぞれに要求されるレベルにはもちろんばらつきがあり、それは企業の状態と状況に応じて変わってくるというのが実態です。

    小さな会社であれば、経営目線で考えられること、各部門の業務実態を十分にヒアリングできること、最低限のプログラミング的な知識とIT系のツールの活用能力があること、といったところでしょうか。リーダーシップについては言語化しづらいですが、常に目的を意識し、伝え、そのために必要なコミュニケーションを社内のすべてのスタッフに対して行えること、といった感じでしょうかね。

    これに加えて、相当なマルチタスクが発生するので、セルフマネジメント能力、プロジェクト管理能力は確実に必要になってきます。

    このくらいのレベルであれば、ある程度コミュニケーション能力のあるエンジニア経験者とかであれば、ちゃんと努力すれば該当すると思います。
    私はまさにこのタイプで、経営目線とか巻き込み能力とかを後付けで鍛えました。

    もし今から自分を鍛える/採用するなら

    実際のところ、技術的な専門性はそこまで高い必要はなく、ツールの説明を聞いてざっくりと実装を想像し、制限や拡張性などがイメージできればなんとかはなると思います。どうせ毎回勉強する羽目になるので、地頭の良さの方が重要です。

    運動とか瞑想をして、脳のパフォーマンスを上げつつ、よりよい環境を作って高い思考能力を実現しましょう。
    テストで満点を取るような記憶力や瞬発力ではなく、あらゆるものを利用して最終的に適切な回答を選び続けられるタイプの頭の良さが重要です。

    注意してほしいのは、経営目線での思考やプロジェクト管理能力、巻き込み能力です。

    これらは「ないと話が始まらない」のですが、正直これが備わっている人というのはITスキルよりもよっぽど珍しいです。
    採用・教育の観点で言えば、こうした能力を持った地頭の良い人を社内で見つけて、多少IT系を学んでもらう方が現実的なのではないかと思ったりもします。

    あなたがこのあたりを苦手に感じているなら(私もそうです)、ぶっちゃけコンフォートゾーンを打ち破って経験を積むしか無いです。
    プロジェクト管理や巻き込み能力なんかはかなりの高いレベルが要求されるので、挫折を繰り返して成長する以外ありません。

    二人目以降は状況を見ながら採用・教育

    ひとりDXを卒業するにあたって、次にどんな人材を選ぶべきかと言われれば、状況によるのが正直なところです。
    あなたひとりでだいたいのプロジェクトを管理できているのであれば、突き抜けたITスキルやデータ分析能力、デザイン能力、企画力など、不足している部分を探して補っていくのがよいでしょう。

    ただ、プロジェクトが増え、大きくなる可能性があるのであれば、先程の経営目線、マネジメント能力、巻き込み能力などを優先して採用・教育するのが現実的ではないかと思います。

    とにかく、「文化や価値観を作ること」が重要で、通常の場合、そのために最初から高度なIT技術や経験が必要ということはありません。そういう技術は最悪外注できます。
    もちろん、外注先の言っていることを素早く吸収したり、各種サービスのメリット・デメリットを理解でき、業務上必要な設定が最低限できるレベルのITリテラシーはないとまずいですけどね。

    うまく優先順位をつけながら、採用・教育を行っていきましょう。

    しくみ、人材、採用については、以下の記事も参考にしてください!

    いますぐできること

    やってみよう!

    • DXを含めてプロジェクトを全部並べて評価する
    • 経営会議に向けた準備をする
    • 経営会議で優先順位を決めて合意を得る
    • 優先順位に見合ったリソースを割り当ててもらう
    • 経営トップ主導でのプロジェクトを開始し、仕組みづくりをはじめてもらう
    • 全社で取り組める小さなDXプロジェクトを回す
    • DXに伴うコストが見え始めたら大きなDXの計画具体化していく
    • スタッフが概ねITによる業務改善を受け入れはじめたら、セルフマネジメント・プロジェクトマネジメントの研修を行う
    • 後はPDCAを回しながら、より高度なDX人材を採用・育成していく

    まとめ

    長くなりましたが、中小企業のためのDXの進め方でした。

    とにかくDX担当は、

    • DXに取り組むための「環境」を作り出すこと
    • DXに取り組むための「リソース」をひねり出すこと
      に取り組むことが必要です。

    そのために、以下のポイントを押さえておきましょう。

    • 価値観や文化を作り上げるというのが一番難しいので、ここから手を付け、常に配慮し続けること。
    • プロジェクトのROI(期待値とかかるコスト)を明確化し、経営レベルで合意を得れば時間は生まれてくる。

    そして、これらを実現するために、

    • 目の前のプロジェクトの優先順位を経営会議で合意する
    • 経営トップ主導でプロジェクトを開始する
    • 小さなDXを回して土台を作る
    • プロジェクトマネジメントができる会社を作る
    • DXをスケールさせつつ、人材を育てていく

    という流れを紹介しました。

    どのステップも難しいですが、分解して、なんとか実行していくことで、一歩ずつ前に進めるはずです。

    最後に、記事内で紹介した記事は以下の通りです。

    ひとりDX全体のナビゲーションがほしい場合は、ひとりDXへの道を参考にしてください。


    よいDXを。

    ひとりDX論

    Posted by 草食ねこ