【Asana】全社導入徹底ガイド!3つの準備と3つのフェーズ

2021年10月21日IT研修,Asana

こんにちは。ASANA認定プロの草食ねこです。
Asanaは会社のDXの、ひいては会社の成長の中心となりうるツールですが、影響力が大きい分、導入には非常に気を使います。

導入に失敗すると…

  • 苦手意識を持つ人が何割か現れて、会社にDXアレルギーが出来てしまう
  • 何人か使えてない人がいるために、オペレーションに漏れが出てトラブルの原因になる
  • 単純に業務効率や売上が落ちる

といったことが当たり前に起きてしまいます。

ぴーにゃ

がんばって導入したのに効率が下がるにゃんて…

みんちゃん

勢いだけではうまくいかないにゃ。

らんす

DXアレルギーだけは絶対に避けにゃいと!


この記事を読めば、そうした事態を避けつつ会社が新しいステージに立つために、具体的に何を準備して、どのように導入作業を行っていけばいいのかをイメージできるようになります。

あるいは、今行っている導入作業の根本的な問題はどこにあるのか気づき、対処することができるようになります。

Contents

導入前にしておきたい3つのこと

Asanaの導入は、会社のDXという観点から見ると、最も大きな壁であり、最大の効果を生み出しうるフェーズでもあります。

そのため、ここでは「DXを進めるためには何をすべきなのか?」という部分の基本的な知識が不可欠です。

これらについては

にまとまっていますが、かなりの分量があるため、この記事では一部を軽く押さえつつAsana特有のポイントを見ていきます。

DX全体の流れ

なんでもそうですが、ゴールがなくては始まりません。ゴールを設定し、リソースを確保し、DXを進められる環境を作り出してはじめて、本格的なDXを始めることができます。

そして、Asana導入というのは「本格的なDX」のスタート地点になるところなので、導入前にはこの「ゴール設定、リソースの確保、環境構築」という3つをしっかりと行っていく必要があります。

導入準備①:現状を把握し、目的をしっかりと明確にすること

最初はゴールの設定です。現状を徹底的に把握し、Asana導入の、ひいてはDX全体の目的をしっかりと明確にしてください。

基本的に、Asana導入までには会社のDX戦略が固まっていることが望ましいです。

DX戦略については以下の記事を参考にしてください。

ぴーにゃ

DX戦略は絶対にないとダメ?

みんちゃん

完璧でなくても「ざっくり」は決まっていないと、優先順位がつかなくなって導入が止まっちゃうにゃ。

Asanaの目指すところは「仕事の管理」

さて、実はAsanaというツールは、「プロジェクトマネジメントツール」ではなく、「ワークマネジメントツール」です。

そもそも、会社の業務は実際に手を動かす「仕事」と、なぜ、何を、いつ、どこで、誰が、どのように、どのくらいのコストをかけて行っていくのかを決め、確認し、調整する「仕事のための仕事」があります。

そして、Asanaの調査チームによると、ナレッジワーカーは一日のほぼ2/3を仕事のための仕事、要するに各種の調整作業やコミュニケーションに費やしているそうです。個人的な感覚では日本はもしかすると2/3以上かもしれません。
これを徹底的に効率化することができるのが、ワークマネジメントツールというわけです。

「プロジェクトの進捗」だけでなく、タスク、データ、コミュニケーションなど、「仕事」に関する様々な要素を管理することを念頭に置いて開発されているのが特徴ということです。

さらにいえば、直感的で使いやすい、あらゆる業務に対応した汎用性が強みなので、「会社全体で導入する」ことができるのもポイントです。

これを踏まえて、今一度目的を見直してもらい、本当にAsanaが合っているのか、解決したい課題はAsanaで解決できるのかといったことを確認するのが第一歩になります。

ここがどれだけ明確になっているかで、この後の2つのプロセスに大きな影響が出るため、これが導入の成否を分けると行っても過言ではありません。

Asanaで解決しやすい課題

Asanaの投資効果や目的を考えるために、カテゴリごとに解決できるよくある課題を見ていきましょう。

進捗管理の効率化

進捗管理ツールがなく、Spreadsheetsなどで管理している場合は、以下の様な課題が発生しているはずです。

よくある課題

  • 今誰が何をやっているのかイマイチわからない
  • タスクの進捗状況をいちいちチャットで聞かないといけない
  • タスクの進捗状況をスケジュールに反映するのに非常に時間がかかる
  • 全体の進捗状況を把握するのが難しい

ここでの問題は、「進捗状況」というデータを、通常の業務とは別に「スプレッドシート」や「レポート」などの形でいちいちフォーマットに合わせて誰かが加工して報告したり、分析したりしなくてはならないことです。


そうではなく、進捗にまつわる様々な状況は、個々のスタッフがリアルタイムで管理している「タスク」の状態に連動しているべきです。

あとはそれをどう見やすく表示し、編集するかの問題。Asanaはカンバンからガントチャートまでほとんどの表示形式に対応しています。

タスク管理の効率化

単なるTODOリストには、致命的な問題点があります。なんでしょうか?

答えは、タスクに関する「5w2h」がわからない、更新されないことです。

よくある課題

  • このタスクが本当に「すべきこと」なのかわからない
  • タスクの目的がわからず、どこまでやったら完了なのかがわからない
  • タスクの優先順位がわからない
  • タスクの期日がとっくに切れているのに修正されない
  • タスクの責任者が誰なのかイマイチわからず、結局誰もやらない
  • タスクに取り掛かろうとするも、具体的に何をやったらいいのかがわからない
  • タスクにどのくらいコストをかけていいのかがわからない

Asanaでは、5w2hのすべてを管理でき、必要に応じてコミュニケーションさえ行うことができます。そしてこれを徹底することで、個人の、そして組織全体のマネジメントに繋がります。

データ管理の効率化

チャットやメールでファイルのやりとりをしていると、以下の様な課題が生じてくるはずです。

よくある課題

  • ファイルがなくなる
  • 古いバージョンのデータを元にタスクを実行してしまう
  • 意図しない人にデータを共有してしまう
  • タスクを開くたびにファイルを検索する作業から始まる

Asanaでは、タスクやプロジェクトに無制限でファイルを添付できますから、関係するすべての人が、必要な情報を必要なときにすぐ取り出せます。

タスクを実行するために必要なデータはすべて、タスクを開けばそこにある、という状態を保てます。

コミュニケーションの効率化

実は一番無駄が多いのがおそらくここです。

チャットやMTGで個々のタスクについてのコミュニケーションをしていると、関係のない人の時間を奪い取ってしまうだけでなく、情報共有の時間、その場でできない回答を待つ時間、業務に関係のない会話の時間などが意図せず発生します。

よくある課題

  • 不足している情報を確認する際、毎回背景情報の説明が必要
  • チャットやMTGで確認をする場合、通常は非常に多くの時間がかかる
  • 場合によっては話が脱線する
  • チャットや口頭で確認した情報がなくなる(見つからなくなる)

しかし、そもそも業務上発生するコミュニケーションはほとんどが「プロジェクト」か「タスク」に紐付いていますね。

ですから、そうしたコミュニケーションをすべて「プロジェクト」や「タスク」に紐づけて行えばいいのです。

繰り返しになりますが、Asanaでは、必要な情報はタスクやプロジェクトを開けばすべて揃います。

Asanaに合っている目的

以上のように、社内の「仕事のための仕事」に関する課題を網羅的に解決できるのがAsanaの強みですが、DXという文脈で考えると、この究極的な目的は「変化に適応し続けられる組織づくり」であると私は考えています。

私たちの置かれている環境は今も急激に変化していますよね。AI、IoT、ロボティクス…どんな業界にも近いうちに必ず大きな変化があるはずです。そうした変化に全社一丸となって対応し続けるための基盤となるのがAsanaです。

「ワークマネジメント」だからこその強みと言えるでしょう。

もちろん、それ以外の目的に対しても様々な効果があると思いますが、こうしたDXの中心的な目的にフォーカスしておくことで、この後の投資判断や環境整備にも大きな違いが出てきます。

導入準備②:経営主導で十分な投資をする決断をすること

目的が明確になったのであれば、後はしっかりと投資判断をすることが重要です。

全社であろうとチーム単位であろうと、Asanaの導入は業務フローの変更を伴うことが多く、かなりのコストがかかります。

また、失敗してしまうと更にコストが膨れ上がってしまうので、失敗しないためにある程度投資することも重要になります。

ここでのコストは単に金銭的なものだけでなく、組織・制度などにも及ぶ上、会社全体で社員を徹底的にモチベートしていかないと失敗してしまうので、基本的には経営トップ(社長やオーナー)主導で投資判断を行う必要があります。

投資判断をする際のポイント

  • ミッション・ビジョンの実現にどうして必要なのかの認識を共有する
  • 会社のすべてのプロジェクトを並べて、優先順位を明確化する
  • 他のプロジェクトの計画を場合によっては遅らせる
  • どのくらいのコストをかけられるのかを事前に各部門認識合わせしておく
  • 計画は複数のフェーズを想定し、必ず「ゆっくり」にすること

これ以上深入りはしませんが、とにかく会社全体でAsanaを導入するための「リソース」を事前に確保し、余裕を持った計画をしておくことが重要です。

遠足は、一番足の遅い人に合わせて進みます。

Asanaはプロジェクト管理ツールの中でも「使いやすい」部類ですが、それでも余裕を持った計画にしてください。

導入準備③:DXを始められる環境作り

最後の準備は、環境作りです。

どんなに素晴らしい道具があってもそれを使えなければ意味がありません。

特に「人」にフォーカスすることが重要です。なんのために使うのか理解してもらい、使いたいと思ってもらい、使えなかったときにしっかりとフォローし、使い方の意見を吸い上げ、会社全体で使い込んでいくこと。

これを実現するための環境を、事前にしっかりと作り上げておく必要があります。

もし全社でツールなどを導入するのがはじめてであれば、事前にITを使ったかんたんな「業務改善」を行い、以下の環境を作り上げるきっかけにしてください。

環境作りのポイント

  • DXに前向きな雰囲気を作っておくこと
  • 全社で取り組むための組織体制を準備しておくこと
    • ボトムアップの協力体制を築くこと
  • DX戦略とAsana導入の目的を全スタッフにしっかり伝えること
  • 導入のメリットとデメリットの徹底した説明
  • 評価制度や会社の行動指針の作成
  • 全ての部署を巻き込んで導入を始めること
  • Asanaであれば全社でのプロジェクトやタスクの一元管理、効率化というところが非常に追求しやすい。

環境の重要性については以下の記事を参考にしてください。

組織体制については以下の記事を参考にしてください。

Asana導入:社内での活用フェーズ例

目的が明確になり、十分なリソースを確保して、DXを前向きに進めるための環境も(だいたい)整った。
そうなったら、いよいよAsanaの導入です!

ぴーにゃ

やっとはじまるにゃー!

みんちゃん

ここからが本番にゃ!!

らんす

ぼくはちょっと後ろから見ておこっと。

ざっくり分けるとフェーズは以下の三段階。

導入フェーズ

  • 第一フェーズ:マイタスクが業務の一部になり、Asana上のコミュニケーションの見落としがなくなる。
  • 第二フェーズ:タスクがほぼAsanaで一元管理されており、Asanaが使えている前提で会社が回る。
    • マネジメントをAsana中心で行える。プロジェクトの優先順位が社内で共有され、経営判断がスムーズになる。
  • 第三フェーズ:会社のあらゆる業務システムと連携する。Asana上で様々な業務を自動化する。

まずは最初の一ヶ月でとにかく第一フェーズを目指す。

特に第一フェーズが重要です。

いろんな機能に目移りするのではなく、とにかくただ「マイタスクを業務の一部にする」ことに注力してください。

「マイタスクだけですべての業務が管理できている」というのはすぐには難しいので、とにかくマイタスク常に開いてもらい、整理してもらう、つまり「Asanaを使うこと」を習慣にしてもらうことだけに集中してください。

また、受信トレイを毎日最低一回はすべてチェックし、アーカイブし終わっている状態を作り出しましょう。

これさえできてしまえば、Asana導入はなんとかなります。

下手にたくさんの機能を推奨せず、必要最低限の機能を会社全体で「漏れなく」できている状態に集中してやっていくのがポイントです。

では、具体的にどのように導入作業をしていけばいいのか見ていきます。

組織体制

まず、「誰が」導入するのかについて。

「環境」のお話で軽く触れていますが、実際のところシステム管理部などの一部の「導入チーム」だけでAsanaを導入するのは不可能です。

3-5人に一人くらいを目安に、全てのチームやポジションに「導入担当者」の様な「業務もやるけどAsanaの推進もする人(DXオフィサー)」を任命してください。

稼働時間は、週に1-2時間くらいで十分で、日々の業務内でフォローアップしたり、チームごとの事情を踏まえた運用改善提案をしてもらったりします。

最初は隔週、慣れてこれば月に1度程度の頻度でMTGをして、かれらを中心に会社全体のDXがボトムアップで回っていくしくみを構築しましょう。

これではじめて、「会社全体で」Asanaを導入するための最低限の条件が整います。

詳しくは、以下の記事の「DXオフィサー制度」を参考にしてください。

第一フェーズの研修ですること

前述の通り、初期の研修では必要最低限の機能のみに「絞って」研修をする必要があります。

特に重要なのは次の二点。「マイタスク」と「受信トレイ」です。

これに加えて、MTGをファシリテートしたり、プロジェクト管理をする人向けに、「プロジェクト」関連の機能の研修を行ってください。

【一般スタッフ向け】基本機能の説明

Asanaには学習向けのリソースがかなり膨大にあります。

動画は吹き替えではなく日本語字幕ではありますが、特に問題はないでしょう。

会社の状態に合わせてどこまで説明するかはおまかせしますが、本当の最小限はこのあたりですかね。

もう少し詳しく説明したければ、Asanaガイドの「始める」の部分の要約と、「マイタスク」「受信トレイ」の使い方です。

マイタスクに関しては、以下の記事を参考にしてください。

受信トレイに関しては、基本的な画面の説明と「アーカイブ」、「Follow up Taskの作り方」がわかれば問題ありません。

【一般スタッフ向け】最低限のルールの通達と定着のためのチェックの実施

マイタスクのルールとチェック項目

先程引用したマイタスクの記事で詳しく触れていますが、マイタスクで意識すべきことは3つ。

  • 5W1H(2H)をすべてのタスクで埋める/修正し続けること
  • 優先順位を付けて、その時間、その日、その週の計画を常に意識できる状態にすること
  • そのために、常にプロジェクト管理に立ち返り、メンバーとコミュニケーションを取り続けること

全部できるとものすごく効果がでますが、まずは使うことを習慣づけることが大切です。

できないと導入失敗してしまうことだけに絞り込むと、社内でルール化すべきことは以下の2つです。

Point

    • つねに「最近の割り当て」を空にし続けること
    • つねに「期日」が過去のタスク(通称赤いDueDate)をなくすこと

受信トレイのルールとチェック項目

受信トレイについては、ルール化すべきことは一つだけで、

Point

    • 毎朝必ずすべて確認しアーカイブしきること

です。

アーカイブの仕方(クリックかe押すだけ)と、フォローアップタスクの作り方さえわかれば誰でもできます。

最初の数週間は、マイタスクを含めてこの3つのルールを徹底してチェックしていきましょう。

リモートだと若干面倒ではあるのですが、DXオフィサーを中心に、チーム内で毎朝相互チェックなど行うのが望ましいです。マネージャーがやってしまうとやらされている感が出てしまいますが、場合によっては有効でしょう。

最初は進捗状況を毎日のようにDXのオフィサーから共有してもらい、状況に応じて追加の研修を行ったり情報共有を行ったりしてください。

とにかく「仕事を調整する上でなくてはならないもの」にしてしまうことがポイント

この最初のフェーズで重要なことは、上記のルールを徹底して「Asanaを使える状態にすること」もそうですが、ひいては「無いと困るもの」にしてしまうことです。

使ってみるとわかるのですが、マイタスクと受信トレイが使えるようにさえなれば、プロジェクト、タスク、コミュニケーション、データはほとんど一元管理できてしまいます。

そしてそれは、とても効率のいいことだとすぐに実感できるはずです。上長と過半数のスタッフが効果を感じられれば、文化が変わります。

逆に、使わない人がちらほらいて、「Asanaだけ見てればOKにならない」と、いつまで経っても導入は進みません。

便利な機能もいいのですが、とにかくまずは「マイタスク」と「受信トレイ」の利用を徹底してください。

【マネージャー向け】チーム・プロジェクト管理機能

これに加えて、「タスクを作って誰かにアサインする」という立場の人には、プロジェクト関連の機能について研修しておく必要があります。できればDXオフィサーも研修しておきましょう。

機能としてはそこまで難しくありません。重要なポイントは、

  • チームの中にプロジェクトがあること
  • プロジェクト内でセクションやタスクを作成できること

の2つです。

あとはアサインとかサブタスクとかそのあたりの基本的な動作がわかっていれば、直感的に使えるはずです。

「タスクをアサインする」研修

問題は、タスクをアサインするという行為は非常に難しいということ。

何を言っているかというと、これまで口頭やチャットで「タスクお願い」とやっていた場合、そこにはタスクに関する5w2hの情報はほとんど入ってないんですね。

ところが、いざAsanaでタスクを作成しようとすると、今まできにしていなかった(でも本当は重要だった)5w2hの情報をある程度入れていかなければならないんです。

健全な組織であればアサインされた側は容赦なく質問を返すはずですから、徐々に今までのタスクの作り方が悪かったのだと気づいてしまう。そして、これまでよりも「最初にタスクを作る」という作業に労力をかける必要性に気づいて、めんどくさくなってしまうんです。

実のところ、「ちゃんとタスクを作れる」というのはある種の才能で、いくらAsanaがよいフォーマットだったとしても、できない人は本当にできないんです。

このあたりは、まず一度「タスクを作る」というのはどういうことなのかを研修した上で、徐々にできるようになっていってもらえるように進めていってください。

また、あまりにこれができない場合、プロジェクトマネージャーやマネージャーといった役職が不適切である、という結論になる場合もあります。こればっかりはどうしようもないです。

タスクを作成するときに特に気をつけるよう指導したほうが良いポイントは以下の点です。

Point

    • 何らかのプロジェクトや目標(親タスク)に紐づけてタスクを作成すること(Why)
    • 期日と担当者を入れること(When,Who)
    • 説明欄には、少なくとも「目的」と「完了定義(どうなったら完了だと判断するか)」について書かれていること(Why,What,How)
      • できれば完了定義には、「理想(達成できれば望ましい条件)」と「最低限(絶対に達成すべき条件)」が分けて書かれていること

このあたりですかね。

最初の2つはまぁなんとかなるので、とにかく「目的」と「完了定義」という言葉が反射的に口から出てくるまで徹底してお伝えしてください。Where(どこで)とHow much(どのくらいのコストで)については、必要に応じてという感じです。

第二フェーズ以降の研修では何をすべきか?

第一フェーズで全スタッフが「Asanaを使える」ようになり、主要スタッフが「タスクを作れる」ようになったら、最大の壁は超えました。お疲れさまでした。

あとは、芽吹いたものを収穫する作業です。

【全体向け】タスクの一元管理を目指す研修・フォローアップ

第二フェーズの「タスクをAsanaで一元管理」というのは、言うは易しの典型例。

最悪、「メールを一通り返す」とか「顧客対応を一通り終わらせる」とか、粒度は大きくなっても構いません。とにかく、「マイタスク」を見たら自分のやるべきことが網羅されている状態を作り出すことが肝心です。

細かいことを言えば、返信すべきメールをタグ付けして連携したり、MTGの予定をカレンダーと連携したりと、細かいコミュニケーションや対応的な部分も本来は入れるべきですが、最初は難しいです。

おそらく、Asanaで一元管理しようとするときに、部署によって「まとめにくい」タスクがいくつか出てくると思います。

それについてはDXオフィサーからのフィードバックを受けながら、適宜適当なリピートタスク(朝のメールチェックなど)を作成してもらうなど、臨機応変にフォローアップしていってください。

場合によっては推奨の連携方法を固めて共有しましょう。

タスク管理研修も合わせて行うこと

また、「やるべきことが網羅されている」状態を作り出しても、基本的なタスク管理の方法を知らなくては宝の持ち腐れです。

タスク管理の基本知識

  • タスクを必ずプロジェクトかマイルストーンレベルのTODOに紐付けること
  • タスクの完了定義を掘り下げて理想と最低限を区別すること
  • タスクをサブタスクにドリルダウンすること
  • 食事や時間帯によってパフォーマンスが変化するので、タスクの種類によって処理するのに適した時間があること
  • 毎朝優先順位付けとスケジュール調整をしてスタートすること などなど

これらの知識は「習慣」になるまで非常に時間がかかりますし、向き不向きもありますが、これが「標準化」されると会社の生産性が爆発的に上がります。倍とかでは済まないレベルで上がります。

会社毎に推奨されるタスク管理手法があるでしょうから、まずは知識を伝えるところからはじめ、マネジメントや社員教育と合わせてじっくり長期的に取り組んでいきましょう。

【一般スタッフ向け】チーム・プロジェクト管理機能

第一フェーズでは後回しにしていましたが、本来、すべてのスタッフが頻度は低くても「誰かにタスクを作成する」ということをします。また、プロジェクトを作成することもあるはずです。

おそらく、研修済みの人たちから、何らかの形で「タスクの作り方」をすでに教えてもらっているとは思いますが念の為実施しておくのが望ましいです。

全スタッフに向けてプロジェクト周りの研修を行いましょう。

MTGのアジェンダリスト・議事録としてAsanaを使う

全スタッフにプロジェクトの研修ができたら、MTGのアジェンダリストや議事録としてAsanaを使うようにしてみましょう。

忙しいと、MTGにはしばしばなんの準備もなく出席してしまいがち。しかし、それでは非常に効率が悪いです。

アジェンダリストを作る

  • MTG用のプロジェクトを作成する。既存プロジェクトにMTG用のセクションを作ってもOK
  • 日常の業務の中でMTGで議論すべきテーマを思いついたら、そのプロジェクト内にタスクを作成する
  • 必要に応じて、
    • サブタスクで準備のタスクを入れる
    • 事前に資料を共有して読んでおいてもらえるようにタスクを入れる

これでMTGの準備はOKです。あとは、

AsanaでMTGをする

  • MTGの冒頭で、アジェンダを見てまずは優先順位を付ける
    • 今日絶対に議論すべきもの
    • 最悪次回以降で良いもの
    • MTGではなくAsana上で議論すればOKなものなど
  • それができたら、各タスクを見ながらMTGを進め、議論の内容もタスクの説明欄などに入れていく(議事録)
  • 最後に、次回のMTGまでのTODOをプロジェクト上に出し切る

ちなみに、Asanaのタスクは複数のプロジェクトに紐付けることができるので(Tab+Pを活用してください)、MTGアジェンダ内でタスクを作成した後、然るべきプロジェクトにも追加しておくとよいです。

そうすることで、次回のMTGの際に漏れなく進捗状況が確認できます。

これが定着してくると、各々のスタッフが徐々に自由にAsanaでコラボレーションするようになり始めます。

【全体向け】操作を効率化するための研修

Asanaがなくてはならないもの、として定着してくると、どうしても「もっと効率的に操作したい」という人が現れます。というか、会社としてもそうしてもらったほうがいいです。

ですから、そのあたりの研修を適宜追加で行っていきます。   

ショートカット

まず重要なのはショートカットでしょう。Asanaは一日中開いていることになりますから、これをいちいちマウスで操作していては時間の無駄がすぎます。

研修したほうがいいショートカット

  • 画面遷移系(マイタスク Tab+Z、受信トレイ Tab+I etc)
  • タスク編集系(アサイン、日付、プロジェクト、サブタスクなどなど)
  • 複数選択での操作(ショートカットではありませんが…)
  • ねこを召喚(Tab+b)

ほかにも覚えるべきショートカットはたくさんありますが、日本語入力状態だと受け付けてくれなかったり、Tabを組み合わせたりと、ちょっと癖があり、やろうとしない人はずっとできません。

研修で何度も手を動かしてもらうとともに、ショートカットリストみたいなのを作ってモニターの下に貼れる用に配ったりするといいでしょう。

ワークフロー

無料版だとあまり大したことはでいませんが、プレミアムならそれなりに使えます。

会社の業務プロセスにもよりますが、特にDXオフィサーを中心に、業務改善ができそうなメンバーに対してワークフローの使い方を研修しておくとよいでしょう。

【全体向け】各種連携に関する研修

第一フェーズではある程度諦めていましたが、各種連携機能を使うことで、より「網羅的に」、効率よく、タスクを作成することができます。

タスク作成だけでなく、Asanaを起点に様々な業務フローを自動化できるので、非常におすすめです。

ちなみに、連携には二種類あって、Asanaが標準で用意しているタイプの連携と、Zapierなどのツールを間に挟んで行う連携です。前者だけでもかなりの量がありますが後者を含めると目がくらむ様な可能性が開けます。

よくある連携の例

  • Asanaのタスク→Googleカレンダーに登録
  • Googleカレンダーの予定→Asanaのタスクに
  • 特定のタグがついたメール→Asanaのタスクに
  • TeamsやSlackの会話からタスクを作成
  • Harvestなどでタスクにかかっている時間を計測

などなど、大部分は無料で利用することができます。

社内の業務フローを見て、要望が多いものやインパクトが大きいものを優先して、連携方法を随時レクチャーしていきましょう。これについては、必須のもの以外は勉強会的な形で実施してもいいと思います。

【全体向け】セルフマネジメント研修

「変化に適応し続けられる会社」になるためには、個々人が自分自身をマネジメントできるようになることが望ましいです。そしてそれは、Asanaで「仕事」を管理することで、大幅にやりやすくなります。

たとえば、タスクや目標の優先順位の付け方、工数や期日の管理、目標の管理などです。

これらは、業務内容が可視化されるまでは非常に難しく感じます。

しかし、Asana上で一度業務が可視化されてしまえば、かなりの部分を「タグ」や「ワークロード」、「目標をまとめたプロジェクト」などの「テクニック」で解決できてしまいます。

こうした内容の研修は、個々のスタッフの自発性が重要ではあるのでなかなか難しいのですが、実施ができそうであれば積極的に研修を行っていくと良いでしょう。

タスク管理の研修とかぶる部分がかなりあるので、場合によってはまとめてやってもいいでしょう。ただ、こちらの研修内容のほうがもう少し内容が広め・応用的で、研修相手を選びます。

【個別】個々のキャリア相談を含めた研修

これはプレミアムを使っている組織に限られますが、Asanaでは、非公開のチーム、非公開のプロジェクトを作成して、個々のスタッフの個人的な目標の管理をすることができます。

セルフマネジメント研修と同様、個人的な目標も可視化することでかなり考えやすくなりますよね。

またそこからタスクを切り出すことで、日々の業務と並べて成長するためのタスクを入れていくことができます。

場合によってはマネージャーと面談しながらこうしたプロジェクトを作っていってもいいですね。

このほか、Asanaにはたくさんの機能がありますし、運用方法にも無限の可能性がありますから、状況に応じて様々な形でAsanaの活用を促していってください。

常に効果検証と改善をし続けること

最後に、全てのプロセスに通して大事なことです。

常に効果検証と改善をし続けてください。

DXオフィサーによるフィードバックであったり、実際に業務を見せてもらったり、アンケートを実施したり、テストを実施したり…定性的・定量的な指標が事前に明確だったならば、それを定期的に確認し、改善のために何ができるのか考え続けてください。

Asanaというツールは、企業が成長する上での「乗り物」のようなものであり、いつまでも改善し続けることができます。

導入プロジェクトの計画段階から、指標に対して「いつ、どうやって確認するか」を決めておき、しっかりとタスクを作ってスケジュールに入れておきましょう。

すぐできること

やってみよう!

まとめ

以上、Asana全社導入徹底ガイドでした。

準備としては…

  • 導入準備①:現状を把握し、目的をしっかりと明確にすること
  • 導入準備②:経営主導で十分な投資をする決断をすること
  • 導入準備③:DXを始められる環境作り

導入フェーズでは…

  • 第一フェーズ:とにかくすべてのタスクをAsanaに入れ、苦手な人もなんとかAsanaでコミュニケーションが取れる。
  • 第二フェーズ:誰もがMTGをファシリテートできるようになり、Asanaが使えている前提で会社が回る。
    • マネジメントをAsana中心で行える。プロジェクトの優先順位が社内で共有され、経営判断がスムーズになる。
  • 第三フェーズ:会社のあらゆる業務システムと連携する。Asana上で様々な業務を自動化する。

の三段階がありました。

第一フェーズではとにかく「マイタスク」と「受信トレイ」を徹底的に使えるように集中するのが重要。

それ以降では、会社の状況に合わせて、ショートカットやワークフロー、連携、マネジメントなどなど、幅広く活用を促していきましょう。

よいDXを!

補足:もしまだAsanaを使っていなければ…

この長い記事をここまで読んだあなたは、きっとAsanaに興味が湧いていることでしょう!

もしまだ使っていなければ、百聞は一見にしかず。早速試してみましょう。

個人的には最高におすすめなんですが、使ってみて微妙だと感じるところも必ずあるはずです。徹底的に検証してみてください。

CAUTION

会社のドメイン使ったメールで登録したら「組織」としてAsanaに認識されてトライアル始まっちゃうので注意!

とりあえず使ってみたい、という場合はフリーメールでやってみてください。

あと、会社のドメインでアカウント作るときもここから登録してもらえると私がAsanaに褒めてもらえます。気が向いたらお願いしますね!

IT研修,Asana

Posted by 草食ねこ